のんき者の食生活

業務スーパーには行く?」
「いやー、行かないですね。この辺にはないんですよ、そういったデカい業務スーパーが。」
「ああ、そうなの。業務スーパーまで行けるんなら行った方がいいよ。鳥の胸肉を2kgで800円か900円そこらで買える」
「マジですか」

一昨日に、この間退職した先輩と会って、近況報告がてら、喫茶店やカラオケでいろいろ駄弁る。
この人は会社に入って、たった9ヶ月で辞めた。理由は、給料も労働環境もいい転職先が見つかったから。
幸運だと思う。辞めると聞いた時、僕は素直に「おめでとうございます」と祝った。
かつて、この先輩とその仲間たちで徒党を組んで、会社を訴えてやろうと企んでいたのだが、一番話せた先輩が辞めてしまったので、話のできる人がいなくなり、結局、企ては水泡へと帰した。
だけど、別になんとも思っていない。
職場が労働環境の面でいろいろヤバいと感じたら、耐え抜くか、一目散に逃げ去るか、この二択が普通の選択だからだ。
労基署に申し出るとか、弁護士に相談するとかなんやで、下手に関わろうとする人のほうが、頭が湧いているのだ。
だから約1ヶ月前の、まだ働いていた時、企てを持ち掛けても、心底から期待はしていなかった。
もし、全員が協力してくれたら嬉しいなという感じだ。
ぼんやりして、気力がもたない日々が続く。
しかし、それでも少ない給料でやりくりする算段を拵えなければならない。
先輩と話ししていた時、たまたま、業務スーパーの存在を思い出す。
いろいろ質問を重ねる。
野菜や米も安いのか。買ったら逆に損するものは何か。調味料は小さいサイズがあるのか。
僕は知っている。ある目的でお金を貯めるために、米とササミとキャベツのみの食生活を送っていた大学の先輩を、僕は知っている。
ここ数カ月は、その先輩のやり方を踏襲するのがベストだと思われる。
つまり、食材の種類は最低限に抑え、調理の方法も単純化させるのだ。
食材や味付け、調理に下手に拘っていたら、食費が嵩んでキリがない。
もともと、僕は料理や自炊に拘る性質(たち)ではない。
腹に入れば何でもいい。なんでも美味しいし、何日も同じものを続けて食べても飽きがこない。
拘るとしたら「安さ」、「手軽さ」の2点だが、冷凍食品やインスタント食品にはあまり頼りたくない。
これらを踏まえて、どのような食生活を送ればいいのか、逡巡する。
とりあえず、お米は3食外せない。
あと、大豆。豆乳や豆腐も毎日、適宜に取り入れたい。
野菜はなにぶん価格が高いし、日持ちもしない。
とりあえず、キャベツは買って冷蔵庫に入れておき、キャベツで得られない栄養素は、マルチビタミンの錠剤で日々賄っていたほうが手軽だし、計算もしやすい。
副食となる肉は、噂の2kg900円の鶏肉を活用する。
1食分ずつ切り分け、冷凍庫に保管しておく。
調理するときは、電子レンジで解凍し、フライパンで焼いてやろう。味付けはシンプルに塩コショウだ
15時間の眠りから目覚めた後、さっそく業務スーパーまでバイクで向かった。
肉は吉備高原鶏もも2kgを購入、1520円した。100gあたり76円。
あとで調べたら、ブラジル産が900円くらいだという。次からはブラジル出身のニワトリだ。
夏だしソーメンも作ろうかと麺類コーナーを見て回ったが、うどんの方が安かった。これも2kg買った。
カツオのふりかけ500g、ドレッシング塩だれ1095gは頼もしいサポート戦力。
おかずが足りなくなったときに、活躍してくれるだろう。